学生による震災復興支援
■いわてGINGA-NETでの支援活動
岩手県立大学,岩手県社会福祉協議会等が連携し発足した「いわてGINGA-NET」.岩手県南部沿岸地域にアクセスのよい住田町を宿泊拠点に,全国から募った学生グループと岩手県内各地でのボランティア活動に参加する仕組みをネットワークを組んですすめられた事業に,震災直後から看護学部生も参加しました.仮設住宅でのサロン活動,子ども向けの学習支援,遊び支援,お祭り等地域行事の開催支援等の活動を行いました.
URL : http://www.iwateginga.net/
■看護学部ボランティアグループ カッキー’S
山田町の仮設住宅で健康をサポートするサロン活動を展開
カッキー’Sは,岩手県立大学看護学部学生による有志ボランティア団体.現在の主な活動はサロン活動.季節の催しとともに血圧測定,独自に考案した「カッキー’S体操」,健康講座などを実施.楽しく交流しながら,住民の健康管理の役割も担っています.
カッキー’Sとは,岩手県立大学看護学部学生による有志団体である.毎月山田町の仮設住宅5か所・小規模多機能施設に訪問し,サロン活動を行っている.活動は,家庭訪問から始まり,血圧測定,マッサージ,季節に合わせた催し物,健康講座などを行い,看護学生の特性を生かした活動となっている.学生と仮設住宅の方が一緒に作りあげるサロン活動であり,お互いに学び合い,支え合う関係である.「苦しい時もあるけれど,カッキー’Sのみんなとの時間が楽しみ」「あなたたちの成長が楽しみ」などという言葉もいただいた.カッキー’Sの活動は,微力ながらもコミュニティの形成や,仮設住宅・小規模多機能施設の方々への楽しみの提供に貢献できたと感じている.
2012年11月に山田町の地区診断を行い,山田町の仮設住宅・一般住宅の住民の方々にお話しを聞く機会があった.私がそこで感じたことは,まだまだ山田町の人々の心と体に負った傷は深く残っているということである.仮設住宅に住んでいる人,津波の被害にあわなかった住宅など様々な環境があるが,その環境の違いの中で少し壁があるということが分かった.また,「友達の交流が半分以下になった.」「寂しい.」との声もあげられ,人との交流の希薄化がみうけられた.自分の住み慣れた町の崩壊に加えて,家・家族を失った悲しみ,これからの生活への不安,進まない復興など,気持ちの面での落ち込みから,不眠や外出の機会減少も招いていることも分かった.実際に,山田町の高血圧,心筋梗塞患者も増加していると発表されている.山田町の一般住宅に住んでいる方にお話を聞きに行った帰り際に,「また絶対に来てね.一緒に散歩する人がいないから,外に出て散歩に行きたいな.」「若い子と話せて楽しかった.」などの言葉をいただいた.初めて伺った私たちに,たくさんの話をしてくださる方もいた.山田町の人の温かさを感じると同時に,今後山田町を始めとした被災地には,心の癒しとなるもの,人とのつながりが更に必要になるのではないかと強く感じた.
(橋場祐佳:平成25年度岩手県立大学看護学部 東日本大震災災害復興支援活動報告集より抜粋)